相続した不動産の売却先は、一般の人／買取業者のどちらがよいか

不動産の売買というと、不動産会社が買主となる人と売主となる人を仲介して売買契約が進むという流れをイメージされます。

しかし、不動産を売る場面では、不動産会社は、「買主を探して仲介する」パターンと「不動産会社が自ら買い取る」パターンの2つのパターンがあります。

不動産会社の中には、不動産の買取を専門とする会社があり、このような不動産会社を「買取業者」といいます。

また、不動産会社が仲介した買主を「エンドユーザー」といわれ、不動産会社ではない、“一般の人”です。

「エンドユーザー（一般の人）」、「買取業者」とも、それぞれメリットとデメリットがあり、どちらが適しているのかは、売主の状況によるといえます。

相続した不動産を売り相続人で分配するケースや相続税の納税資金のために不動産を売却するケースでは、短期間での売却が望ましいといえます。

・市場価格で売ることができるので、買取業者に比べて高く売ることができる。

・買主が見つかるまで時間がかかり、また、いつ買い手がつくか予測が難しい。

・建物のリフォームや解体をしてから売りに出すことが一般的であり時間と費用がかかる。

・契約不適合責任（瑕疵担保責任）がある。

※契約不適合責任とは、不動産を引き渡した後に、その後発覚した不動産の不備や不良（たとえはシロアリ被害など）について売主が負う責任をいいます。

これは、売主が契約・引き渡しの当時、知らなかったとしても免責されるものではありません。

・契約不適合責任（瑕疵担保責任）がなく、不動産の不備や不良についての責任を負わない。

・リフォームなどをしなくても現状のままで契約ができる。

・エンドユーザー（一般の人）に売るよりも、売買価格が2割～3割程度低くなる。

一般の人であるエンドユーザーか買取業者に売るかはメリット・デメリットを踏まえたうえで、ご依頼者様の意向によりますが、相続した不動産の売却においては、ほとんどのケースで買取業者への売却を選択されます。

エンドユーザーが売った方が、売買価格は高くなりますが、解体・リフォームしなくてもよく、契約・代金決済まで短期間で済むことを理由に挙げられます。

そして、契約不適合責任を負わないことを一番大きな理由としています。

相続不動産では、亡くなった方が一人で住んでいたケースや長年空き家となっていたケースのほか、古く劣化した建物となっているケースが多くなります。

このような状況で、売却後に発覚した不動産の不備・不良について契約不適合責任（かつての瑕疵担保責任）を負うよりは、契約不適合責任が免責される買取業者に売った方が、売主となる相続人にとって、圧倒的に負担が少なく安心できるのではないでしょうか。

不動産についての相談先というと、不動産会社（宅建業者）が浮かびます。

しかし、相続した不動産を売却して代金を分配する遺産分割（換価分割）をするなら、司法書士に相談することをお勧めします。

司法書士は不動産売買と相続の手続きを専門としており、相続と不動産売却が同時に進む遺産分割のケースにおいては、遺産分割の段階から司法書士が関与することで、よりスムーズに手続きを行うことができます。

相続不動産を売却する換価分割においては、遺産分割協議書の記載方法など専門的な知識が必要となるので、不動産と相続に精通した司法書士にご相談ください。

当事務所では、一般的な相続手続き、不動産相続登記、換価分割に対応した遺産分割協議書の作成から相続不動産の売却代行まで、ご要望に応じて様々な実績がございます。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

●この記事を担当した司法書士

司法書士法人NEW.S
代表　長岡健太

保有資格	司法書士資格
専門分野	相続全般・不動産
経歴	1981年　栃木県宇都宮市で生まれる。神奈川県川崎市にて8年ほど情報通信系の会社員を経ながら、在勤中の2013年に司法書士の資格を取得。その後、都内の司法書士事務所にて司法書士業を開始。相続以外の不動産登記手続き、会社・法人の登記手続き、債務整理など、幅広く業務を行っていたが、次第に遺産相続手続きの比重が多くなる。